犬の定期健康診断の重要性と理想的な受診のタイミング。獣医師玉城の見解

健康診断 獣医師の記事

人間ドックの重要性は病院やメディアで大々的にアナウンスされているので今や常識となっているかと思いますが、犬にとっても定期的な健康診断はとても大事です。

犬にとって健康診断が大事である理由は、病気の早期発見がその後の治療において非常に大きなメリットとなるからです。人間と全く同じ理由ですね。

しかし獣医療においてはまだまだ定期検査の重要性が十分に周知されていないと感じるので、今回は犬の健康診断について「本当に受けた方が良いのか?」、「何歳から受ければ良いのか?」、「頻度はどのくらいが良いのか?」といった質問に答えていきたいと思います。




犬の健康診断は本当に必要なのか?

犬に定期的に健康診断を受けさせている飼い主さんの数は確実に増えてきており、犬の健康に対する意識の高まりを感じます。

しかし一方で、「そもそも犬に健康診断が必要なのか?」という質問を受ける事も今だに多く、まだまだ周知していかなければいけないなとも感じています。

もちろん犬にも健康診断は必要で、その目的は人間の場合と同じく病気の早期発見を目指すためです。

健康診断を継続して受けている場合は、健康診断の際に病気が見つかっても早期発見となることが多いです。

逆に言えば、健康診断を受けていない場合は、病気が見つかった時点で重症化している可能性が高くなります(健康診断を受けていない犬が検査を受けるということは、すでに明らかな症状が出ているということになるので当然ですね。)。

犬も年齢ととも病気になりやすくなる

人も犬も年齢を重ねていくと病気になるリスクは増していきます。代表的な病気としては慢性腎不全、腫瘍、心臓病(人で言う弁膜症など)、関節疾患、口腔疾患などが挙げられます。

我々を含めて動物は経年による身体機能の衰えに抗う事ができないため、ほとんど全ての病気は年齢を重ねることでなりやすくなると考えて良いかもしれません。

早期発見のメリット

我々獣医師は検査の結果をもとに病気を診断しますが、診断の中でその病気のグレード(進行度)も評価します。当然グレードによって治療の内容は変わります。

そしてほとんどの場合は、病気のグレードが低い(早期発見である)ほど、治療の選択肢は増え、予後(治療への反応)も良好となります。

また、年齢とともに悪化していく様な完治が難しい病気に関しても、治療開始時期が早ければ早いほど病気の進行スピードを遅らせることができ、元気でいられる時間を長くする事ができます。

腫瘍の場合は早期に発見することができれば、切除することで完治となることもあります(腫瘍部位が切除可能で、他臓器への転移がない場合)。

犬は何歳から健康診断が必要か?

「健康診断は何歳くらいから始めた方が良いのか?」という質問を受けることも多いです。

犬の場合は犬種が多様で個体差も大きいため一括りに何歳からと答えるのは難しいですが、小型犬で7−8歳、中型犬で6−7歳頃、大型犬で5−6歳頃から始めることをお勧めします。

もちろん若い内から生涯に渡って検査を継続していくことができればベストですが、前述した年齢頃から病気になるリスクが増加していく事が分かっていますので目安として考えていただければ良いかと思います。

どのくらいの頻度で健康診断を受けさせれば良いか?

健康診断
一般的には年に1回の健康診断が推奨されています。しかし年齢を重ねると発病のリスクが増えるため、小型犬で10歳頃、中型犬で8−9歳頃、大型犬で7歳頃からは年2回の頻度に増やすことをお勧めします。

もちろん頻度に関しては多ければ多いほど良いということになるのですが、時間や費用に制限がある場合を考慮して最低限この頻度を守っていただければ良いかと私は考えます。

動物病院に行く頻度を増やす意義

健康診断の頻度を年2回に増やすことが困難な場合は、動物病院へ行く機会を増やすことを提案したいです。

例えば、混合ワクチンや狂犬病ワクチン接種、もしくはフィラリア検査と同じタイミングで健康診断を受けさせている場合は健康診断を別の日にすることで病院へ行く回数が増えます。

ワクチン接種だけの診察であっても獣医師は視診、触診、聴診を行いますし、気になる点があれば質問することもできるため意義は大きいと思います。

実際ワクチン接種の際に心臓の雑音が聴取されたり、皮膚の腫瘍に気付いたりすることもままあります。

※フィラリア検査では触診、聴診を行わない病院もあるため、希望を伝えましょう。

どんな検査をすれば良いのか?

一般的に犬の健康診断では血液検査(一般項目)が優先され、X線検査、エコー検査に関してはオプションとして加えるかどうか飼い主さんに委ねられている場合が多いかと思われます。

しかし血液検査だけでは臓器の異常所見(腫瘍など)を見つけることができないため、シニア期(小型犬で10歳頃、中型犬で8−9歳頃、大型犬で7歳頃)に入った犬にはX線検査、エコー検査といった画像検査も一緒に行うべきだと考えていただきたいです。

高齢犬に対しては年2回の検査の内最低でも1回は画像検査を加えることをお勧めします。

終わりに

犬の健康診断
今回は動物病院で受ける健康診断についてお話ししてきましたが、家の中でも犬の健康を守るためにできることはあります。

例えば、日々スキンシップをとってあげることで皮膚にできた小さな腫瘍にいち早く気付くことができます。実際、よくこんな小さな腫瘍に気付いたなと獣医が感心するほど早い段階で病院に連れてくる飼い主さんもいれば、なんでこんなに大きくなるまで気付かなかったのかと悔やむ飼い主さんもいます。

腫瘍に限らずちょっとした犬の変化に気づいてあげられるのは毎日一緒にいる飼い主さんだけです。そのちょっとした変化に気付けるかどうかで犬の運命は大きく変わることがあります。

ぜひ犬の健康に対する意識を高めて犬との生活をより良いものとしていきましょう。

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この記事を執筆したライターさん

玉城勝盛  獣医師

宮崎大学卒

神奈川県内の動物病院勤務

イラストや漫画も得意
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